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「吉野葛・盲目物語」(谷崎潤一郎 新潮文庫)

2010.03.30(Tue)

『日本文学』 Comment(0)Trackback(0)
吉野葛・盲目物語 (新潮文庫)吉野葛・盲目物語 (新潮文庫)
(1951/08)
谷崎 潤一郎

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■最近、NIKONのデジタル一眼レフ、D40を中古で買った。これに、35mm単焦点・F1.8という明るいレンズをつけて、撮影を楽しんでいる。今まで使っていたコンパクトなデジカメとは、もちろん写りが格段に違う。なので、写真が撮りたくて仕方がない。用事で外出するとき、買い物に出かけるとき、いい被写体がどこかにころがっていないものか、知らず知らず眼をきょろきょろさせている。しょっちゅう、そんなことを考えているもので、脳内がファインダーと化しているようなところがある。


今回、「本のオフ会」で採り上げることになった「吉野葛」は、なによりこの脳内ファインダーが刺激される。被写体としての吉野の光景、秋の風物がなんとも素晴らしい。


○「が、建物の古い割りに、何処の家でも障子の紙が皆新しい。今貼りかえたばかりのような汚れ目のないのが貼ってあって、ちょっとした小さな破れ目も花弁型の紙で丹念に塞いである。それが澄み切った秋の空気の中に、冷え冷えと白い。」


○「八百屋の店先に並べてある柿が殊に綺麗であった。キザ柿、御所柿、美濃柿、いろいろな形の柿の粒が、一つ一つ戸外の明かりをそのつややかな熟し切った珊瑚色の表面に受け止めて、瞳のように光っている。饂飩屋のガラスの箱の中にある饂飩の玉までが鮮やかである。」


■もちろん、「吉野葛」は、風景描写の素晴らしさだけではなく、小説としても実に味わい深い作品である。この作品は、作家である主人公による吉野への紀行文という体裁をとっている。そして、その主人公に吉野行きを誘い、同伴する友人の津村が語る、母恋譚が古典的な趣であるにも拘わらず、胸に沁みる。津村は、若くして亡くなった母への追慕から、その謎めいた生い立ちを探るために、故郷である吉野の地を度々訪れたいた。そうして、「幼少の頃大阪の色町へ売られ」た母の実家も突き止める。初めて母の実家を訪れたとき、そこで、黙々と冷水に両手を漬けて紙を漉いていた若い娘と出会う。


■と、まあこれ以上、ストーリーを語るとネタばれになってしまうので止めておくが(て、ほとんどバレてますがな)、この津村の身の上話は、幼くして母を失ったものの透明な哀しみと、同時に母の面影を宿す純朴な娘と結ばれる晴れの気分が、行間から立ち上ってきてシミジミとした気分にさせられる。派手な仕掛けもないし、谷崎を代表する作品でもない、どちらかというと地味な佳作というスタンスになるのかもしれない。しかし、キラリと光るものを秘めていて妙に惹かれる、愛すべき小品である。

Nikon デジタル一眼レフカメラ D40 ダブルズームキット ブラック D40BWZNikon デジタル一眼レフカメラ D40 ダブルズームキット ブラック D40BWZ
(2006/12/01)
ニコン

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