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『ペドロ・パラモ』(ファン・ルルフォ 杉山晃・増田義郎訳 岩波文庫)

2009.10.25(Sun)

『海外文学』 Comment(0)Trackback(0)
ペドロ・パラモ (岩波文庫)ペドロ・パラモ (岩波文庫)
(1992/10)
フアン ルルフォ

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■前から読みたいと思っていた、ラテン・アメリカ文学の傑作。ファン・ルルフォは、メキシコの作家で、生涯でたった二作の小説しか残さなかった。短編集『燃える平原』と長編のこの作品。かなり完璧主義の作家だったようで、二作の後も小説を書いたそうだが、気に入らなくて破り捨てたそうだ。ともあれ、60年代から本格的に始まる、ラテンアメリカ文学の大攻勢の先駆けになるような作品で、土着的な語りを基調としながら、手法としては実験的で、なるほど後続の作品群に大きな影響を与えたことがうなずける。マジック・リアリズムの萌芽のような作品だ。死者と生者、悲劇と喜劇、現実と幻想とが入り乱れて立ち上がってくる、ラテンアメリカ文学特有のカーニバル的な神話世界はやはり魅力的だ。


■ラテン・アメリカ文学の大きな魅力のひとつに、その土着的な語り口がある。素朴で、ある意味、前近代的といってもいい冗舌な語り。知性ではなく、身体から発せられるような力強い言葉のやりとりは、マジック・リアリズムの快感のひとつだろう。『ペドロ・パラモ』もまた、そういった語りの魅力を堪能させてくれる。例えば、この小説では、主人公といっしょの墓に埋葬されている、ドロテアという人物の語りが面白く味わい深い。(この物語は、同じ墓に埋葬された二人の会話が、狂言回しのようになってストーリーが展開していく。)こんな感じ。


主人公のファン・プレシアドが、ドロテアにこう問いかける。
 

●「それで、あんたの霊魂は?どこにいったと思う?」


その問いに対する、ドロテアの答え。
 

●「ほかのたくさんの霊とおんなじさ。自分のために祈ってくれる人をさがしながら、この地上をさまよっているんだろうよ。よくしてやらなかったから、たぶんわしを憎んでるだろう。…………………………わしが死を待とうと腰を下ろしたとき、あれは立ち上がってもっと命を引きずり歩け、とわしに言った。 わしの罪を清めるような奇跡をまだあてにしてたんだろう。だけどわしはそのままじっとしておった。『 これでおしまいさ』そう言ってやった。『もうこれ以上力が出ないよ』そしてな、口を開いて、行けって言うと、行っちまった。あれとわしの心臓をつないでおった細い血の糸が、手のひらにこぼれ落ちたのがわかったよ」


■こういう、味のある会話・やりとりが、そこかしこに出てくるので、なんとなくさくさく読み進んでいけるのだが、ストーリーは単線的ではなく、突如として話者が変わったり、時間や空間が変わったりと、なかなか入り組んだ構成になっている。
最終的には、それぞれの断片がジグソーパズルのように全体的な構成の中に、きちっと収まるようになるのだが、途中で何度も前のページに戻って確かめたりするはめになる。
しかし、なれるてくると、そのあたりは全然気にならない。後半はペドロ・パラモとスサナの悲しい恋の物語と、コマラの町の運命に流れが収斂され、終末へと一気に加速されていく。このあたりのペドロ・パラモの描写は実に素晴らしく、読後もしばらくは、ペドロのイメージが、頭から離れなかった。

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