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定本 私の二十世紀書店 長田弘

2009.10.15(Thu)

『本を巡る本』 Comment(0)Trackback(0)
定本 私の二十世紀書店定本 私の二十世紀書店
(1999/10)
長田 弘

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■この本は、もともと中公新書の一冊として82年に刊行されていたもので、99年にみすず書房が新たな装幀のハードカバー本として再刊したものだ。この夏読んだ、『中公新書の森』でも、古本通のライター・岡崎武志さんが絶賛されていて、今でも常時4~5冊は身の回りに常備しておくというほどの惚れ込みよう。
確かに、ずしりと重い書評集である。タイトルにもあるように、ここで採り上げられている本たちは、二十世紀という「時代」の相貌が、くっきりと浮かび上がるようなセレクトになっている。世紀を超した今、二十世紀という時代が、壮大な社会実験と国家の暴走、そしてそのとてつもない失敗の時代であったことを改めて痛感する。大きなシステムの迷走によって、人々がいとも簡単に生命を脅かされ、かけがえのない人生を翻弄されてきたことか。長田さんが採り上げた本たちから立ち上がってくるのは、「名づけようもなく度しがたい神を相手どった、さまざまな形の個人的な訴訟記録」そのものである。


■中公新書で、この本が刊行されたのは1982年のこと。その時点で二十世紀を振り返るのと二十一世紀も十年を過ぎようとしている今、二十世紀を振り返るのでは当然パースペクティブが違う。そのせいもあるのか、それとも私たちが健忘症であるためなのか、すっかり忘れていたものと出会ったような、不意打ちを食わされたような、そんなちょっとした衝撃がある。社会主義革命の成就、その挫折とスターリンによる粛正。ナチスの台頭とユダヤ人虐殺。スペイン市民戦争、第二次大戦。大国に翻弄される小国や民族。パレスチナ問題。人々が否応なく暴力と直面させられた時代だった。たとえ、どんな有名人であろうと、ロルカのように無名の一人として葬られる運命に直面していた。
戦争と革命の時代というのは、だれもが無名の一人として多数の中の一人として、「あっけない死」と日々直面しつつ生きざるを得ないような時代なのだ。
シャルル・プリニエ『偽旅券』という本に寄せて、長田さんは、こんなふうに語っている。


●「今日の時代には容易に見失われている無名性への加重をつよめつつ生きる生き方が、ここにはあざやかにえがきだされているからだ。自己の無名にかけて生きることの努力が勝利と敗北によっては測ることのできない一人の価値を荷っていた時代こそが、『偽旅券』のあかす一九三〇年代という時代なのだ。」


長田さんは、一九三〇年代に限定しているが、もっと拡張して二十世紀そのものと言ってもいいのではないだろうか?誰もが、無名の一人として生きることを強いられる時代、そんな時代の声が、逆に個性をこれでもかと主張するような時代の声よりも、くっきりとその人物の輪郭が浮かび上がるという逆説。


■そんな声が聞きたくて、いくつかの本を早速注文した。


「ときどき立ち返って ひもときたくなる。そんな本があって、エリオ・ヴィットリーニの『シシリー島の憂鬱』はそうした本のひとつだ。」という、『シチリアでの会話』(岩波文庫)。タイトルが変わって復刊されたようだ。


「おもしろくて悲しくて、おかしくてさびしくて、読みだしたらまずやめられない」という、『マーク・トゥエイン自伝』(筑摩文庫・上下)。


「ここに手わたされるのは、その死の無名性においてもっとも際だつ、詩の無名性のうちに全力で没入しようとして生きた、ひとりのすぐれた詩人の確実な生のかたちだ。」という『ロルカ・スペインの死』(イアン・ギブソン 晶文社)


他に、プレヴェールやディラン・トーマス、リンゲルナッツなどの詩人たちの本が気になった。



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