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ベーシック・インカム入門(山森亮 光文社新書)

2009.09.06(Sun)

『ベーシック・インカム』 Comment(0)Trackback(0)
ベーシック・インカム入門 (光文社新書)ベーシック・インカム入門 (光文社新書)
(2009/02/17)
山森亮

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■ベーシック・インカムという魅力的な所得保障制度に関する基本情報が欲しくて、本書を手に取る。ベーシック・インカムとは、簡単に言ってしまうと「全ての人に生活に必要な所得を無条件で給付する」というものだ。
一見、荒唐無稽な夢物語のような話だが、世界標準となっている社会保障の制度が、あちこちに綻びを来してきている現在、それに変わる一つの有力な対案として注目を浴びつつある。日本でも、最近ホリエモンなどがブログで紹介したこともあり、ネット上ではそこそこ話題になっている。また、今回の総選挙でも、新党日本やみんなの党が政権公約に掲げたりもしていて、現実政治の世界でもささやかな動きが出てきている。
民主党の目玉政策の一つ「子ども手当」なども、子どものある家庭に無条件一律給付という面ではベーシック・インカム的側面があるように思う。


■現在主流の社会保障政策である「福祉国家」モデルは、第二次大戦後イギリスを中心に確立された。この福祉国家の特徴は、「①完全雇用を前提に、②一時的なリスクには、事前に諸個人が保険料を拠出刷る社会保険が対応し、③セーフティネットとして生活保護など、無拠出だが受給に当たって所得などについての審査を受けなくてはならない公的扶助と呼ばれる給付を行う」というものだ。つまり、社会保障が社会保険を中心に組み立てられ、補足的に生活保護などの公的扶助が適用されるという二段階の仕組みとなっているわけだ。ところが、日本の場合、この「福祉国家」モデルが、機能不全に陥っていて、うまく機能していない。


■生活保護を受給できるはずの世帯のうち、実際に受給している世帯の割合を示す数値に捕捉率というものがある。日本は諸外国に比べこの数値が極端に少ない。多くの国が50%を超えているのに日本は20%前後といわれている。さらにこの数値さえ年々下がってきている。データをもとに、日本の生活保護の実態をわかりやすく表現すると、次のようになるという。


●100世帯中、10世帯が生活保護基準以下の生活をしているが、実際に保護を受けることができているのは、たったの2世帯。


■そもそも、社会保障制度の前提となっている完全雇用など達成可能なのだろうか。
完全雇用と関連して、ベーシックインカムの必要性を論じたのが、ガルブレイスだった。「社会的に必要とされる仕事が減ってきているのにそんなに働く必要があるのか」というのである。技術革新の結果、生産性が上がるとともに労働量は減少していく、無理に雇用を確保しようとすれば過剰生産に陥り、広告等によって人々の欲望を喚起し消費を無理強いすることになる。生産はかってほど重要なものではないというのだ。怠惰はその個人にとっては有害かもしれないが、社会にとっては有害とはいえないとまでいう。つまり、無駄な仕事を勤勉にこなすことの方が、社会にとっては有害だということだ。


■ベーシックインカムは、様々な立場の人が主張している。キング牧師のような、黒人解放運動の指導者から、フリードマンのような新自由主義の教祖のような人まで様々である。
それだけ、社会の様々な階層の人にとって、融和的でフリクションのない政策であるということだろう。例えば、企業はグローバリズムの波を受け、賃金をできるだけ低く抑えたり、労働力の流動性を確保したいと思っている。悪く言えば、いつでも切り捨てることができ、低賃金で長時間労働してくれる方がありがたいわけだ。これは、良心の問題ではなく、企業としてはそうせざるを得ない立場に立たされていると言うことである。
それに対し、派遣切りをやめろ、最低賃金を上げろ、というのも労働者の立場としては当たり前だ。そのような、基本的に対立せざるを得ない二つの階層が、互いの立場を認め、ウイン・ウインの関係として、成立しうるのがベーシック・インカムという政策なのだと思う。


■斬新なアイデアであるだけに、常識的にはにわかに認めがたい部分もあるようだ。例えば「働かざるもの食うべからず」という価値観などその最たるものだろう。他にも、「なぜ、金持ちにまで給付するのか」とか。また、財源の問題も重要だ。財源の問題については、いろいろとアイデアが出されているようだ。しかし、いくら膨大な金がかかろうと必要なものなら、いくらでも知恵は出てくるはずだ。要は、それこそ政治の意志の問題である。アメリカの医療保険改革における共和党のキャンペーンを見ても、日本の民主党の子ども手当に対する自民党のネガキャンを見ても、財源論を持ち出すのはためにする論議と見て間違いないだろう。
ともあれ、ベーシック・インカムの論議は、ダイナミックで楽しい。最後の奴隷制としての賃労働からの解放への第一歩ということだけでも、とてつもない意味を持っていると思う。制度的に細かな設計をどうするのかという専門的な話とは別に、導入された世界がどのような世界になるのか、人間の活動にとってどんな可能性が開けてくるのか、想像するだけでわくわくする。

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