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選挙も近いので、『脱貧困の経済学』(雨宮処凛・飯田泰之 自由国民社)を読んでみる。

2009.08.28(Fri)

『政治・社会・経済』 Comment(2)Trackback(0)
脱貧困の経済学-日本はまだ変えられる脱貧困の経済学-日本はまだ変えられる
(2009/08/21)
飯田泰之雨宮処凛

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■刊行されたばかりの『脱貧困の経済学』(飯田泰之×雨宮処凛 自由国民社)は、今回の選挙での私的最大の争点である、「格差」・「貧困問題」を考える上で、ユニークな視点を提供してくれる。
本書は、雨宮処凛さんと経済学者の飯田泰之さんの対談集。飯田さんという人は、1975年東京生まれの若手経済学者で、写真を見るとタレントのようなルックスとファッションで、外見上はとても学者とは思えない。
それにしても、雨宮さんのような反貧困系活動家と彼のような若手経済学者がタッグを組むことは、素晴らしいことだと思う。反貧困運動の理論的根拠が豊富化され、「自己責任論」や「財源論」といった、保守系政治家やメディアによって、世間一般に垂れ流される悪意ある批判に対し、説得力ある反論を加えることが出来るだろう。


■で、この「格差」・「貧困問題」の原因について、飯田さんという人は、非常に明快でシンプルな答えを持っている。一つは、格差や貧困をどんどん広げるような税の取り方をしているということ。つまり、金持ちには減税を、そして貧しい人には増税という、逆進的な税のかけ方である。税の再分配以前は割と平等なのに、再分配以降は世界でもトップクラスの不平等社会になっているというのだ。日本の不平等というのは、市場原理主義の暴走というより、完全な政策ミスであると。自民党政権が、せめて無為無策の政権であれば、こんなことにはならなかったということだ。無能な政府が筋違いの方向で努力を重ねることは、なんと恐ろしいことか!99年以来毎年のように進めてきた富裕層に対する減税のせいで、財政逼迫が起こっているにも拘わらず、なにかというと財源論をふりかざす、あるいは消費税増税をちらつかせる。「盗っ人猛々しい」とはこのことではあるまいか。このいびつな再分配を是正するだけで、ほとんどの問題は解決するのではないかと、飯田さんは主張する。日本と予算規模がほぼ同じイギリスと同じ対策をやれば、日本は北欧に次ぐ世界トップクラスの平等社会になる、とまで言い切る。


■元祖「筋違い努力派」の源流、小泉構造改革などは、モデルとしては、70年代のアメリカで生まれたもので、その時、アメリカが直面していた問題は、生産能力の低さだったという。生産効率をよくしていかないと、インフレだけが起こっていくという状況にあったわけだ。つまり、需要に供給が追いついていないという状況。
ところが、何をとち狂ったか、「みんながものを買わないからデフレで困っている」という、90年代日本の個別状況にこれを当てはめてしまった。ものはあふれているのに誰も買わないという状況の下で、さらに、供給サイドの効率化を促進しようとした。つまり、客観的にはデフレ推進策を国を挙げて遂行したのが、小泉構造改革に他ならないわけだ。派遣切りが横行したり、労働者の賃金が下がるのは当然の帰結で、さらに内需は冷え切っていくという、悪循環に拍車をかけたのである。


■もう一つ、飯田さんは、経済成長を重視していて、経済成長がないかぎり、失業や貧困の問題は解決しないという。この部分だけだと、経済学者なら誰でも言いそうなことだ。しかし、面白いのは、なぜ成長が必要なのかという理由である。人間というのは、放っておいても毎年2%ずつくらい賢くなるというのだ。ということは、工場などでも、毎年2%ずつ効率がよくなって生産性が上がっていく。それに対して、経済成長が1%くらいだと、その差である1%分だけ労働力が過剰になる。
90年代以降、今回の金融危機が起こるまでは、日本以外どこの国も大体2~3%の成長を確保し、安定成長していたという。だから、2%という数字は、目標にしてもいい数値ではないかというのである。成長が足りないから、労働力の売り手は自らを安売りするしかない、しかし、成長が実現すると、売り手市場になり、労働条件は格段に良くなるというわけだ。



■そのために、飯田さんは、お金をもっとたくさん刷って個人にばら撒けという。自民党の場合、景気対策というと、企業や団体を通したばら捲きで、個人に直接給付するという発想は全くない。しかし、財政政策を効かせる最大のポイントは、いかに「使う人」に回すかだという。なのに、なぜか、必ず団体や企業を迂回させる。今回の選挙でも、自民党は、民主党の子育て支援を「ばら捲き」などと非難しているが、「使う人」に効率的にお金を回すという意味では、これ以上効率的なことはない。公明正大でダイレクトな「ばら捲き」という手法こそ、今求められているもので、自民党のような、企業や団体を通すという古いモデルの景気対策では、もはやなんのインパクトもないということだ。そういう意味で、公明党が提唱した定額給付という手法は、ある意味、いい線を行っていた。ところが、問題はその規模で、最低でもあの10倍、もしくは所得による受給制限を設けて20倍だったら、かなり効いたという。マスコミの報道でも「ばら捲き」という、言葉のネガティブなイメージに乗っかった形で、民主党の政策を批判する傾向があるが、これは実に表層的な批判で、愚民化キャンペーンとも呼べるものだろう。


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コメント
『脱貧困の経済学』編集担当の柳瀬と申します。取り上げていただきありがとうございました。著者のお二人と共に総選挙に間に合わせるべく必死で作りましたので、選挙前にお読みいただき嬉しい限りです。
ところで、以前に「BOOKISH」でお世話になったYさんでしょうか?
今日たまたま拝読し、嬉しくなり、かつ「あれ?」と思いコメントさせていただいた次第です。
柳瀬 2009.09.16 18:24 編集
柳瀬さん、コメントをありがとうございます。
「BOOKISH」では、こちらこそ大変お世話になりました。柳瀬さん、この本の編集者だったのですか、驚きました。それにしてもこの本、すごく、おもしろい企画でしたね。あっという間に読ませてもらいました。

今は、店の方に集中していて、合間にこんなブログを書いています。今後ともよろしくお願いします。
yako 2009.09.17 20:55 編集
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