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ボブ・ディランという男(デイヴィッド・ドールトン 菅野ヘッケル訳 SHINKO MUSIC)

2013.10.18(Fri)

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ボブ・ディランという男ボブ・ディランという男
(2013/09/26)
デイヴィッド・ドールトン

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◆ボブ・ディランって知ってるよね。
「ボク・シラン」なんて、オヤジギャグを返さないように。
この一年ほど、ディランばかり聴いている。やっと、あの独特のクセのある歌唱の魅力がじわじわ胸に響くようになってきた。ディランと出会ってほぼ50年になる今日この頃。

◆ディランは、50年近くになる長いキャリアで7000万枚以上のレコード・CDを売り上げてきた。これは、確かにデカい数字だが、ビートルズやマイケル・ジャクソンの6億枚には遙かに及ばないし、テイラー・スイフトやレディ・ガガにも及ばない。それどころか、日本人アーチストのBzや美空ひばり、さらには三橋美智也にも及ばない。にもかかわらず、ディラン関連の本は、様々なアーチストの中でもダントツで多いという。ディランという人は、評論家や研究者からみて批評するに値する格好の素材なのだ。何故か?ディランの社会的・音楽的・文学的背景の重要性が他と比べ圧倒的に高いからに他ならない。

◆ビートルズは、不良たちの音楽であったロックンロールを、普通の男の子・女の子にまで広げていった。さらに、ロックンロールがロックへと進化するためには、感度のいい大学生以上の大人にまでマーケットを広げなければならなかった。60年代初頭、アメリカの大学生達は、ビート詩人達の影響を受けてジャズを聴くか、反体制的で反商業主義のフォークミュージックを聴くかに大別されていた。このような層をリスナーに引きずり込まない限り、ロックンロールは、お子様向けに消費される軽薄な音楽として無限ループするしかなかった。
このロックンロールからロックへと云う進化・孵化の過程で、ディランは決定的な役割を果たす。それを象徴するのが、1965年に発表されディラン最大のヒット曲となった「ライク・ア・ローリング・ストーン」だ。この曲は、当時のポピュラー音楽が持っていた数々の制約・約束事をひっくり返す。例えば、<ヒット曲の尺は3分以内><歌詞は「恋愛」や「車」「スクールライフ」といったガキの日常を切り取ったもの>等々。こういった、お約束をひっくり返し、6分15秒という破格の尺、内容は、ハイスクールの日常とはほど遠い、かって栄光の座にいたセレブの没落とそれを揶揄したもの。しかも、そのサウンドはかって聴いたこともない摩訶不思議でユニークなものだった。それでいて洗練されていて、なおかつポップでキャッチー。この曲の前奏からディランの独特の声・歌唱へと続く導入部は、いつ聴いても、褪せることのないマジックだ。この曲の出現が、ポップミュージックをロックンロールを新たな高みへと押し上げる導火線となった。ビートルズやビーチボーイズは、この曲に刺激を受け、新たな音楽創造に向けてしのぎを削るようになる。

◆ところで、この本にはディランとジョン・レノンの興味深い対話が紹介されている。ジョン・レノンの回想でこんな会話が綴られている。

「彼はいつも…『ジョン、これをよく聞いてみろよ』とか『歌詞が聞こえたか?』とか言った。ぼくは『ことばはいいんだ。たいせつなのはサウンドだ』と言っていた」

◆つまり、ビートルズはサウンド志向、ディランは詩の重視、という違い。ディランは、アメリカのフォーク・ミュージックの詩の世界から始まり、ギンズバーグらのビート詩人や象徴派のランボーまで俯瞰し、ポピュラーミュージックのありきたりの詩の世界とは徹底的に断絶していた。
ディランほど偉大な詩人の詩や文学作品を読んでいるミュージシャンは、今なお、そうそういないのではないかと思われる。これらの影響を受け独特の世界を構築したからこそ、毎年のようにノーベル文学賞の候補に名を連ねることになったのだろう。
また、アメリカのフォーク・ミュージックにしても、その題材となる世界は、決してのどかなものではない、残忍で恐ろしい内容のものも多かった。例えば「プリティ・ポリー」という曲では、男が結婚の約束をして若い娘を誘惑し、娘が妊娠したあと、隠してておいた墓穴に誘い入れて殺す。「ラブ・ヘンリー」では、女性が不実な恋人を毒殺し、それを見て騒ぎ出した鸚鵡まで殺そうとする。スマートなモダニズムの世界とは一線を画した世界が、包み隠さず歌い込まれているのである。
これは、日本で歌われるフォークのイメージとも違うし、アメリカのヒットチャートを賑わす曲とも違う。異質な世界である。このような、反近代の語り口やイメージにのめり込み、取り込むことによって新たな詩世界を立ち上げたのである。
もちろん、あの斬新なヴォーカルスタイルやメロディメーカーとして非凡なことは言うまでもない。つまり音楽家として豊かな才能に恵まれているのは明らかだが、どちらかというと、歌詞で世界を驚かせたいというほうに軸足を置いたミュージシャンなのだ。そんなディランとジョン・レノンの立場の違いは面白い。

◆そんな歌詞重視のディランだが、「ライク・ア・ローリングストーン」だけは、サウンド・歌詞とも画期的だった。ディランのアルバムでサウンドが画期的などというのはほとんどない、と言っていいだろう。フォークロック期の三枚の大傑作<「ブリング・イット・オール・バック・ホーム」「追憶のハイウェイ61」「ブロンド・オン・ブロンド」>にしても、「とりあえず、バックにエレクトリックバンドをくっつけてみました」的なえらくぶっきらぼうな風情だ。(もちろん、それそれで結果として素晴らしいアルバムに仕上がっているのだが)
いずれにしても、ビートルズやビーチボーイズのサウンドの懲り方とは比べるべくもない。そんなディランの曲にあって、「ライク・ア・ローリング・ストーン」だけは違う、別格だ。それくらい、歌詞とサウンドが対等、拮抗、完璧に決まっている。スタジオに神が宿った数少ない例だろう。
そういう、破格の曲であればこそ、音楽の歴史を塗り替えることが出来たのだ。

◆それにしても、去年くらいからコツコツと集め始めたディランのCDだが、もう後数枚で完璧というところまで来た。その矢先、この11月にとうとうコンプリートBOXが出るというではないか。現状、持ってないのが2~3枚というところなので大いに悩む。未発表の音源も収録されているようだが、数はそんなに多くもない。それでも、いくつかのアルバムがリマスターされているのでそれは魅力ではあるし、ハードカヴァーと言われる解説本がつくのも魅力だし。うーん、悩ましい。


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(2013/11/05)
Bob Dylan

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