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本にだって雄と雌があります

2013.04.23(Tue)

『日本文学』 Comment(0)Trackback(0)

本にだって雄と雌があります本にだって雄と雌があります
(2012/10/22)
小田 雅久仁

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■第三回Twitter文学賞(2012年・国内編)で第一位、さらに著者の小田雅久仁さんは、私の地元であり母校でもある関大出身ということで、期待しつつ読んだ一冊。


■内容は、深井輿次郎という蔵書家とその家族の「数奇」な半生を描いたもの。なんだけれども、「数奇」といっても、普通の「数奇」ではない、半端ない「数奇」。いわば、書物をめぐる壮大なファンタジーとでもいうべき物語。なにしろ、本が空を飛ぶ話である。生物界に雄と雌があって子供が生まれるように、新たな本が生まれ増殖していく話である。このような荒唐無稽な奇想譚を作者は、誠に巧緻な物語に織り上げいく、「おかず」てんこ盛りで。
その「おかず」だが、最もベーシックな下味(つまり基本の出汁)は、なんといっても「笑い」である。この「笑い」にかける作者のサービス精神は凄まじいもので、知らん人が読んだら、間違いなく新作の上方創作落語かと見紛うことだろう。


■中でも、深井輿次郎の蒐集上のライバルとして登場する、亀山金吾こと鶴山釈苦利のキャラ造形は実に見事で面白い、というか面白すぎる、反則である。どれくらい「おもろい」かというと、彼が登場するだけで、私は思わず吹き出してしまう。そう、登場しただけで、何らのアクションを起こしていないにもかかわらず。
かっての吉本新喜劇における岡八朗、花木京、あるいは桑原和夫を彷彿とさせる。もちろん、「シャボン玉ホリデー」における植木等、映画「男はつらいよ」の渥美清と言ってもいい。(しかし古いなあ、この例え)彼らは、登場するだけで視聴者の笑いを誘った。彼らは、生身の役者だが、釈苦利は、ただの文字による創造物に過ぎない。言うなら、私は、ただただ小説の文字を追っているだけなのだ。にもかかわらず、釈苦利が登場するやいなや、吹き出してしまう。これは、相当凄いことだと思うのだ。


■で、この「笑い」という下味をベースにどんなメインディッシュを用意しているかというと、極上のファンタジーである。幻書(空飛ぶ本)の群れによる、幾たびか起こる「奇跡」の描写。これらのシーンが、この本のクライマックスになるだろう。この作品の中で、『冒険者たち』(斎藤 惇夫)や、『ひげよさらば』(上野 瞭)、さらに『はてしない物語』(エンデ)など、児童文学におけるファンタジーの傑作の名が出てくる。作者の小田さんは、きっと幼い頃から、これらの傑作群に親しんでこられたのだろう。そのような著者のバックボーンが、見事に生かされた作品だ。


■大阪弁を活かしたコテコテの笑いプラス美しいファンタジーの描写、この本の魅力はそこにつきるだろう。ところどころ、サービス精神が先走って、時にその饒舌が五月蝿く感じられ、もうちょっとブラッシュアップしてくれたら、と思うところもあるが、まずは、極上のエンタメ文学の誕生を祝したい。
個人的には、あの稀代の「濃い」キャラ・鶴山釈苦利を主人公に据えた、抱腹絶倒の物語を是非読んでみたいところだ。


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