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そして、人生はつづく

2013.02.24(Sun)

『本を巡る本』 Comment(0)Trackback(0)

そして、人生はつづくそして、人生はつづく
(2013/01/11)
川本 三郎

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■久しぶりに川本三郎さんの新著を読む。2010年に出た『いまも、君を想う』(新潮社)以来。最愛の奥様を亡くされて、元気で過ごされているのだろうかと気になったが、お元気そうでなにより。
この本は、雑誌「東京人」に二〇一〇年七月号から二〇一二年十一月号まで連載した「東京つれづれ日記」が中心になったエッセイ集だ。
いつものように、「映画」や「本」、そして「町歩き」や「小さな鉄道の旅」など、川本ファンにはお約束のネタが満載。いつもながら、そのアンテナがキャッチする話題は、どこか懐かしくそして心地よい。

■今回、なにより驚いたのは、あのミュージシャン、大滝詠一さんが、古い日本映画のファンで、東京を舞台とした映画のロケ地探索にはまっているという話。
なんと、「成瀬巳喜男監督の『銀座化粧』『秋立ちぬ』の全ロケ地を調べ成瀬ファン、さらに昭和三〇年代の東京好きを驚倒させたが、その後も鈴木秀夫監督『殺人容疑者』(五二年)と小津安二郎監督『長家紳士録』(四七年)のロケ地を全て調査されたという。」とある。
さらに、『築地川倶楽部』という「秘密結社」まで立ち上げる。『銀座化粧』『秋立ちぬ』で描かれた築地川界隈を愛する人間たちの精神的つながりが、「築地川倶楽部」という会になったそうだ。川本三郎さんは、その名誉会長。『少年探偵団』の「BDバッジ」を思い出させるバッジが送られてきたそうだ。好きな人たちが思わぬところで繋がっていくのが嬉しい。

■もう一つ、川本さんの「鉄ちゃん」ぶりにも驚かされた。とにかくよく鉄道に乗って旅に出る。小さな旅はもちろん、北海道に行くときも九州に行くときもほとんど鉄道を使うという。
紅葉を見る、桜を見る、水田の風景を見る、どれもお気に入りの鉄道スポットが決まっていて、車窓からの眺めを楽しみに出かける。
最近では、八高線がお気に入りのようで、暇あると乗りに行くらしい。八高線とは、八王子と高崎の手前の倉賀野というところを結ぶローカル線だ。また、この間、東北大地震で被害を受けた東北にもよく出かけている。復興支援もかねて、三陸鉄道や阿武隈急行などに乗りに行く。
この本で紹介されているのは、どうしても東京を起点とした鉄道の旅が多いのは仕方がないところだが、関西に住む者としては少し寂しい。
しかし、関西周辺の鉄道の旅もいくつか紹介されている。中でも、因美線の智頭や若桜といった山間の小さな町は是非とも訪れてみたいと思った。

■川本さんは、鉄道好きが嵩じ、電車の中で本を読む「読書散歩」にまで行き着く。こんな風に書いている。

◇「電車の中の読書はとてもはかどる。書評の仕事で早く読まなければならない本があるときは、それを持って電車に乗る」。

電車の中が、もっとも集中できる読書空間と化している。これも、本のヴォリュームによって、鉄道のルートは決まっているというから、恐るべし。
さらに読書する場所でいうと、意外な盲点がもう一つ紹介されている。

◇「湯に浸かりながら本を読む。たしか江國香織さんもエッセイで、風呂の中で本を読むのが好きと書かれていたが、本当にこんな幸せなことはない」。

■そして、この本の最後を飾るのは、去年、亡くなった丸谷才一さんの思い出。丸谷才一さんという作家が、如何に希有な存在だったか、改めて痛感させられた。なんと言っても、その守備範囲の広いこと。

◇「巨星墜つの感がある。こんなにスケールの大きな文学者はもう出ないのではないか。
小説、文芸批評、翻訳。さらに歌や俳句を詠む。書評というジャンルを批評の形式に高める」

前衛的なモダニズム文学の古典『ユリシーズ』を翻訳されたかと思うと、『源氏物語』をはじめとする、日本の古典文学にも造詣が深い。
川本さんの奥さんが亡くなられたとき、弔辞を読んでくれたのも丸谷さんだったらしい。この本では、毎日新聞の書評委員になったとき、初めての会合で、緊張していた川本さんと親分格の丸谷さんとのやりとりのエピソードが語られていて、これはもう、正真正銘のとっておきの話だが、読んでのお楽しみ。
さらに、晩年、丸谷さんが、雑誌のインタビューを受け、健康の秘訣を聞かれたときの答えがイイ。

◇「スポーツをしないこと。あれは健康に悪い」

軍隊が大嫌いだったという、丸谷才一さんの作品が読みたくなり、川本さんが、最高傑作ではないか述べられている『笹まくら』を、今、読んでいる。


笹まくら (新潮文庫)笹まくら (新潮文庫)
(1974/08/01)
丸谷 才一

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「ゲートマウス」は、「本が楽しめる、ミュージック・カフェ」、もしくは「音楽が楽しめる、ブックカフェ」といったイメージの店です。勿論、フードやドリンクも充実。是非お気軽にお立ち寄りください。日曜、祭日は休業。

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