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『原発社会からの離脱』(宮台真司×飯田哲也 講談社新書)

2011.09.04(Sun)

『政治・社会・経済』 Comment(4)Trackback(2)
原発社会からの離脱――自然エネルギーと共同体自治に向けて (講談社現代新書)原発社会からの離脱――自然エネルギーと共同体自治に向けて (講談社現代新書)
(2011/06/17)
宮台 真司、飯田 哲也 他

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■脱原発の世論が次第に大きくなってきている。原発に代わって再生可能な自然エネルギーをというのが、私も含めて多くの人の願うところだろう。実際、世界は、自然エネルギーの拡大に向けダイナミックに動き出している。ところが、ここ日本では、地震が活動期に入り、フクシマの悲惨な事故があり、首相が自然エネルギーの導入に向け強い決意を語っているにもかかわらず、相も変わらぬ自然エネルギーに対するネガティブ・キャンペーンがまかり通っている。
太陽光は場所をとりコストが高い、風力は低周波による害が大きい、しかも天候などに左右され不安定である等々。とても原子力発電の代替にはならず、あくまでも、補助的なエネルギーでしかないという論である。例えば、最近ではテレビだけでなくネットメディアなどでも頻繁に見かける田原総一郎。最近の言い分はこうだ。「今の風潮では、原発推進なんて怖くて言えない。脱原発ファシズムがまかり通っている!」というのが、最近の定番のフレーズである。なら、過去数十年以上に渡って流布されてきた「原発安全神話」は、ファシズムではないのか?さらに「自然エネルギーなんて、原発に代わる代替エネルギーになるわけがない!」なんていうフレーズもある。このように、せっかく高まってきた脱原発の流れだが、怖いのは、田原のような著名キャスターが、誤った認識に基づいて、世論をミスリードすることである。テレビなどメジャーなメディアを視ていると自然エネルギー不信の論調が、ジワリジワリ、浸透してきているようにも思えるのだ。


■ところで、メディアがまき散らす、ネガティブキャンペーンをよそに、自然エネルギーを巡る世界の状況はどうか?ネット上で情報をピックアップすると、次のような状況が見えてくる。


◎世界では発電容量において風力・太陽光などの再生可能エネルギーが、去年(2010年度)、初めて原子力発電の容量を上回った。これは、推進派の論陣を張るサンケイの記事だ。<風力・太陽光エネが原発を逆転

◎原発推進派の大好きなアメリカでも、ついに自然エネルギーが原発の発電量を上回った。自然エネルギーの割合が11.7%になったらしい。日本の自然エネルギー、1%とは雲泥の差。自然エネルギーが原子力を追い抜く

◎再生可能エネルギーへの投資が32%増で過去最高、日本低迷。(国連環境計画発表)。<再生可能エネルギー投資32%増 過去最高、日本は低迷


◎さらにこんな記事も、アメリカでは、スリーマイル島の事故以降原発は一基も建てられていないということは、よく知られている。さらに、IAEAによると、1973年以降、発注された原発の三分の二がキャンセルされたという。安全性のハードルが高くなり、建設コストが膨大に膨れあがり、それがネックになっているためだ。さらに、注目すべきは、環境や安全に配慮した原発を建てるとなると、かえってエネルギー価格が高騰するのではないかという懸念もあるというのだ。<フクシマ後の世界の原子力産業


■これくらいの、状況認識を基に自然エネルギーに関する論議は進めてほしいものだ。多くの原発推進派が、今、しきりに垂れ流しているのが、自然エネルギーにシフトすると、電力価格が高騰し多くの企業が海外へ移転、産業の空洞化を招くというものだ。脱原発は、国を滅ぼすというのである。フクシマは現実に原発によって壊滅的な打撃を受けたにもかかわらず。この人たちは、何時大地震が起こってもおかしくない、地震活動期に入った日本列島で原発を維持し、しかも、最終処理の目処も立たない使用済み核燃料をこのまま未来永劫ため込んでいくという道を選択することが合理的だとでも言うのだろうか。したり顔で、自然エネルギーの導入が、日本経済を滅ぼすなどと、いっぱしの経済アナリストぶった物言いで、自然エネルギー推進派を罵倒する前に、もう少し、謙虚にかつ客観的に自らのおかれている立場を考えたらどうだろう。
資本主義という巨大な歯車は、一旦回りだすとひたすらカネを求めて終わりのない永久運動を続ける。安全や命より目の前の利潤こそが最優先されるという、恐るべきルール。さしずめ、経団連の米倉などは、この資本主義の<原理主義者=忠実な下僕>以外の何者でもない。
フクシマのような事故が、もう一カ所どこかで起きたら日本はもう終わりなのである。地震の活動期に入った日本で、その確率を無視できるとでもいうのだろうか?


■自然エネルギーの普及は、一挙に進むわけではない。電力の自由化や、固定価格全量買い取り制度、発送電の分離等、普及させるためにはそれを後押しするための法的整備や環境作りが不可欠である。
ヨーロッパは、それらの法案整備を既に90年代に行っている。日本では、ようやく今国会で、「再生エネルギー促進法」案が可決された。
この自然エネルギー拡大のキモとも言うべき「全量固定価格買い取り制度」は、既に世界60ヵ国以上で政策として採用されているのである。<自然エネルギー世界白書 2011 要旨

■世界は既に、政策目標として自然エネルギー導入の目標値を掲げ走り出しているのである。そのような流れにどうして日本は、乗り遅れたのか?そのことの分析が、この本の大きなテーマにもなっている。自然エネルギー先進国、とりわけドイツやスウェーデンなどヨーロッパの国々との社会比較がフューチャーされている。

ドイツで「固定価格買い取り制度」法制化されるのが1990年。これを推進したのは、右派のキリスト教民主党、わけても農民代表の議員が中心的なプレイヤーとなった。チェルノブイリ事故は、ウクライナの穀倉地帯をはじめ、ヨーロッパの農業に大打撃を与えた。農民層が脱原発を志向することはヨーロッパでは自然の流れだったのだ。
さらに、サッチャー革命による電力自由化。これは、瓢箪から駒みたいなもので、市場原理主義のサッチャーが、原子力の民営化にあたってその支援を狙った「非化石燃料義務づけ」だったのが、シティの反発によって原子力の民営化を引っ込めざるを得ず、自然エネルギーのほうに振り向けることになった。
このイギリスの非化石燃料義務づけとドイツの固定価格制度の二つが偶然にも、90年代のヨーロッパでの市場を活用した自然エネルギーの普及政策、つまり「需要プル」という新しいパラダイムの政策の源流となった。
さらに、90年前後に、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、オーストリアといった国では、炭素税を制度として導入し、温暖化防止のキラーコンテンツとする政策も開始された。


■この本の対談者である飯田哲也さんは、92年に原子力ムラから身を引き、スウェーデンに留学する。そこで目の当たりにしたのが、上に挙げたヨーロッパにおける「環境エネルギー革命の10年」とも言うべき、歴史的な環境エネルギー政策の大転換だった。
先にも述べたように、自然エネルギー導入のための切り札となる、全量固定価格買い取り制は、世界60ヵ国で採用されている政策である。もちろん、アジアでもこの流れは加速していて、既に中国や韓国・台湾はもちろん、シンガポールやマレーシア・フィリピン・タイなどでも導入されている。自然エネルギーが是か非かなどという、悠長な論議の段階を世界はとっくに通過しており、地球環境を守るための必須のアジェンダとして取り組んでいるというのが実情なのである。


■この本では、日本が何故遅れているのか、日本社会は何故ダメなのかという点に、焦点を合わせた議論が行われている。しかし、今は、そんな原子力ムラに代表されるような、社会のダメさ加減の方こそ<自明>なのではないか。それより、脱原発派の主張する自然エネルギーで本当に電力はまかなえるのか、という点に議論は移っている。メディアを通じて垂れ流される、自然エネルギーに向けられた懐疑に対して、説得力のある反論を行うことこそが大事な時期ではないか。
このエントリーで、さかんにHPのリンクを引っ張ってきたのは、議論の前提となる自然エネルギーの世界的な状況を確認したかったからである。このあたりを自明のこととして、いきなり<悪い共同体>や<悪い心の習慣>と言われてもちょっと戸惑う。
自然エネルギーへのシフトという<第四の革命>への流れを途絶さず、大きな流れとして育てていくためにもきちんとした情報を把握したい。


□本のオフ会

◎8月26日(金) PM6:30~

◎『ラテンアメリカ五人集』(集英社文庫)


ラテンアメリカ五人集 (ラテンアメリカの文学) (集英社文庫)ラテンアメリカ五人集 (ラテンアメリカの文学) (集英社文庫)
(2011/07/20)
マリオ・バルガス=リョサ、ホセ・エミリオ・パチェーコ 他

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<悪い共同体>の<悪い心の習慣> いか@ 筑波山麓 『看猫録』 at 2011.09.04 19:23
管理人の承認後に表示されます
- at 2012.10.26 06:43
コメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011.08.25 15:32 編集

紅子さん今晩は。
そうでしたか、あの時のあの方でしたか、なんとなくおぼろに覚えております。
『あしたが消える』と『チェルノブイリハート』の紹介有り難うございます。『チェルノブイリハート』の方は、耳にしたことがありますが、『あしたが消える』の方は初耳でした。そうですか、必見、こりゃみなくちゃですね。

ブログされているのですね。今気づいて、リンクで飛びました。凄い充実したブログで写真も素敵ですね。そういえば、森山大道の個展、私も行ってきました。

明日、読書会やります。よかったら、是非参加してください。飲みながら本をネタにべちゃくちゃしゃべるという緩い会です。夏休みなので、人が集まるかどうか。ま、いつもごく少数でやっているんですけどね。
gatemouth 2011.08.26 02:17 編集
早速の返信ありがとうございます。
一度お訪ねしたおりに、たくさんの書籍を見せていただきました。
また、お世話している学生(当時)の抽象絵画も見せていただきましたよ。
お元気そうで何よりです。
読書会楽しそうですね。一度参加してみたいです。
最近は買うには買いますが、読了することが少なくて…。
いけませんね。
月3冊は読了という目標を立てなくては。
紅花紅子 2011.08.26 12:44 編集

コメント、有り難うございます。
前回来られたとき、店には本棚はありましたっけ?実は、壁面に本棚を設置したのが5年くらい前でした。
それまでは、学生さんたちの個展などもやってました。
読書会、是非ご参加を!次回は、東浩紀さんが出されている「思想地図」の「震災特集」を予定しています。まだ出版されたばかりなので、10月のアタマのあたりを予定しています。

gatemouth 2011.08.29 22:54 編集
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吹田市千里山東1-11-16
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