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本のオフ会 『停電の夜に』ジュンパ・ラヒリ

2010.12.06(Mon)

『海外文学』 Comment(0)Trackback(0)

停電の夜に (新潮文庫)停電の夜に (新潮文庫)
(2003/02)
ジュンパ ラヒリ

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■今回の読書会、課題図書はアメリカのインド系女性作家ジュンパ・ラヒリの短編集『停電の夜に』。参加者は、いつものY君に、南河内万歳一座の役者F君が参加してくれた。さすがに、この作品は全員に好評で、Y君は、作中のお気に入り短編ランキングまで作成して参加してくれた。彼のランキングにほぼ賛成なのだが、実のところ、どの作品も素晴らしくハズレなしの短編集で、ランク付けなど至難の技というのが私の実感。


■『停電の夜に』は、ジュンパ・ラヒリ32歳のデヴュー作にして、ピューリッツァー賞受賞作。デヴュー作が、ピューリッツァー賞受賞というのは異例のことで、新人の作品でありながら、いかに高い完成度を持っていたかということの証左だろう。
ここで描かれているのは、彼女の出自であるインド系移民のアメリカでの日常、異文化の出会いによる相克、結婚生活の倦怠や不倫等々、日常に密着したちょっとした事件である。決して、大仰に物語を捏造したりしない。あくまでも、リアルな現実に根ざして紡がれた物語だ。ただ、九編の短編のうち、二編がインドを舞台にしたもので、この二編だけは、アンチリアリズムというか、どちらかというと、マジック・リアリズム的なテイストが濃厚。これが、また、ちょっとしたアクセントになっていて、作品集に幅と奥行きをもたらしている。
登場人物は、インド系移民が多いものの実に多彩だ。彼女に近い若い女性はもちろん、タクシードライバーの中年男性、百歳を超える老婆、まだ十代前半の男の子。これらの登場人物が、三十そこそこの若い女性の想像力によって、リアルに像を結んでいる点は相当凄いことなんじゃないだろうか。


■で、ここからは、独断と偏見なのですが。この作品を読んでいてふと思ったのは、日本においてこういう作品は、意外にありそうでないのではないか、ということ。日本では、文学系というか純文学系の作家たちは、どうも、表現上の実験や冒険に走りがちで、ストーリーも現実から遊離し、内にこもって妄想的に捏造する傾向にあるのではないだろうか。(もちろん妄想といっても、ピンチョンやマルケスのような気宇壮大な妄想となると話しは別で、彼らの場合、日本の作家たちとは違って、外に大きく開かれているように思う。)
この作品は、そんな日本の文学的風潮とは真逆で、素直な表現とリアルな物語、それでも充分文学的テイストやオリジナリティは感じられる。しかしながら、アバウトに言ってしまうと、日本だと『停電の夜に』のような作品は、むしろ直木賞系の大衆文学のような位置づけがされてしまうのではないだろうか。


■ジュンパ・ラヒリのピューリッツァー賞同様、前回採り上げたフィリップ・ロスの『父の遺産』は全米図書館賞を受賞している。どちらも、アメリカでは最高の文学賞である。そして、たまたま読んだ二作品とも文学的実験や冒険とはちょっとずれたところで紡がれた、地味だが味わい深い作品だった。
どうも文学を見る目が、日本とアメリカでは違うような気もしてきた。


■次回 本のオフ会  

    『2010 私の読んだ本ベスト3』

    日程は追ってお知らせします。




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